攻略困難な四国の土地を同盟力で支配した長宗我部元親の魅力

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長宗我部元親初陣の像

姫若子と揶揄された長宗我部元親の本来の性格

長宗我部元親と言えば、戦国時代の四国を統一した四国の覇者となった武将です。

そんな元親は幼少期、周囲から妙な印象を持たれていました。そのあだ名は“姫若子”。

出典は土佐物語によると、元親の背が高く色白、性格は柔和で、無口。余計な話を一切せずに、人と会っても会釈せず、いつも屋敷の奥にいる、お姫様のような生活を揶揄されて、そんな風に呼ばれていたようですね。

しかし、そんな元親が四国の覇者がそんな軟な人間であるはずがありません。大人しいというよりは、何事にも慎重に物事を判断する人物像を感じました。

人見知りとか、いつも屋敷の奥にいる点も、感受性が強いとも受け取れますね。感受性の強い子供は、他と交わる苦手な子供が多い。幼い元親が柔和な性格だったとすると、他人の気持ちを察することができ、自分からは喋らず周囲の言葉にも注意深く見守ることのできる人物、というのが正解だったのかもしれません。


その証拠に『元親記』には、律儀第一の人とも書かれ、また大人になった後の人物評ですが、「しとしととのへたまはんは土佐のかみ」と、豊臣政権当時の連歌にも謳われている。この歌は、「ゆっくりと、きちんとお話になるのは元親さま」という意味です。


そんな風なパーソナリティをしたうえで、元親の四国制覇を見ていくと、颯爽たる若武者が先陣を駆け巡ったという劇画的な景色とは違った元親の生きざまが見えてきます。

長宗我部流対等同盟で四国制覇

まず、元親が四国制覇のイメージがありますが、正確に言えば、四国を完全に統一したわけではないそうです。伊予、讃岐、阿波の一部に「反・長宗我部勢力」が最後まで存在したという説があります。

元親の初陣は、戦国大名の跡取りとしては遅い。元親が22歳のとき、長浜戸ノ本の戦いで初陣を飾りました。しかし、元親はこの戦いで大活躍し、これ以降「姫若子」とは呼ばれなくなった。ちなみに同じ時期に織田信長は、桶狭間の戦い今川義元を破っている。時代が大きく動いた年ですね。

この後、元親は土佐を皮切りに阿波、讃岐、伊予へと領土を広げていきますが、その過程にこそ長宗我部元親の政治的特徴が表れています。

やたらと殺さず、外交を駆使して勢力を拡大していきます。

例えば、阿波攻略では有力国人だった日和佐氏に対し、力攻めするのではなく、外交関係を結び、日和佐氏を拠点として阿波国内に浸透。


しかも、両者に上下関係はなく、その従属関係は緩やかで、同盟に近いことが、当時の書状からも分かっています。

対等な関係っていうのが、戦国時代でちゃんと成立したのか?対等というのも耳障りとしては、めっちゃいい感じですが、それを維持するのは並大抵のことではないはずです。

元親が優勢を誇った中での同盟ではあったと思うんですが、後世にも対等な同盟と思われるのは、そこに元親らしさがあったように思いますね。

対等同盟は、双方の利益をよく理解した元親のリーダーシップの下に成立

讃岐侵攻では、毛利氏と長宗我部氏の仲を取り持った香川信景に、元親の次男・親和が婿養子に入っています。

香川氏との関係強化は、讃岐制覇に極めて重要でした。

香川信景の仲介によって羽床氏が元親になびき、続いてその羽床氏の仲介で新名しが元親に服属し、ドミノ倒しのように外交が進んでいきました。

1つの家を味方にすることで、次々と長宗我部氏になびく構図が出来上がるのです。


元親が土佐統一を達成してから、四国全域に勢力を伸ばした1582年まで、わずか7年しかかっていません。


正直、峻険な四国山脈を中央にある四国は簡単に攻略できる地形でもありません。単純な話ですが、まず軍隊の移動が楽ではありませんね。そんな環境での勢力拡大は、外交を抜きにし、単なる力攻めでは無理があったのかもしれません。


そして、元親の外交力とはこの場合、圧力によって相手を支配下に入れるのではなく、極端に言えば互いに助け合おうとする、相互援助の姿勢だったことを強調しなければなりませんね。


各同盟相手は、各々の地域で元親に代わって勢力を拡大させていきます。元親は、同盟国に対して、後ろ盾という保証を与えました。


こうして互いの利益を実現していったのでした。


元親が同盟関係を永続させることができたのは、元親自身が同盟相手に丁寧に接していたことと、そして、元親自身が同盟者にとって相互利益をよく理解し、それらを束ねるリーダーシップがあったのでしょう。

長宗我部元親、もっともっと深掘りしていきたい戦国大名の一人ですね。

戦国人物伝 長宗我部元親 (コミック版 日本の歴史)

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